narisuma
統率者2019より《なりすましの壁/Wall of Stolen Identity》


3月28日にイラストレーター、scarypet氏が「自分が描いたファンアートがMTGの公式アートに使用されている」とTwitter上で告発した。トレス疑惑を指摘したツイートは瞬く間に拡散され、物議を醸している。

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ミスティカルアーカイブ版《命運の核心/Crux of Fate》

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scarypet氏作「Nicol Bolas」 image credit : DeviantArt-scarypet

scarypet氏がツイートした動画では、どのようにトレスされたのかが説明されている。2016年6月22日に同氏がイラスト系SNSサイト、「DeviantArt」に公開したニコル・ボーラスのファンアートが、今年3月26日にプレビューされた「ストリクスヘイヴン:魔法学院」収録予定のミスティカルアーカイブ版《命運の核心/Crux of Fate》に登場していると指摘されたことを受けて、scarype氏がみずからその類似性を検証するといった内容となっている。

検証の結果、氏が描いたニコル・ボーラスの頭部と腕の形やシルエットが一致しており、手の表現に関しては”シワ”までそのままだとの意見を出した。体の部分は「そのまま使用されてはいないようだが、DeviantArt側で生成された透かしがかかっていたため描き直したのだろう」と推測している。

また、コミュニティからは、現代のニコル・ボーラスの指の本数は3本という設定があり、scarypet氏のアートでは5本指で描かれているところもそのまま反映されていると追加の指摘がされており、トレス疑惑に拍車を掛けている。

こちらのミスティカルアーカイブ版《命運の核心/Crux of Fate》を描いたのは、イラストレーターのJason Felix氏である。《書庫の罠/Archive Trap》や《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》等といったカードを手掛け、10年間以上にわたり120点以上のMTGのアートを描いたベテランだ。実績あるイラストレーターに、まさかのトレス疑惑が浮上しており、ファンたちは心配を寄せている。

また、付け加えておくと、MTGのIP権利を持つウィザーズ・オブ・ザ・コーストが個人のファンアートを許可なしに公式アートに組み込むことに法的な問題はない。MTGのキャラクターであるニコル・ボーラスのイラストを描くことは、ファンコンテンツポリシーにある通り「あなたの許可なしに(コンテンツを)シェアしたり使用したりすることができることに同意したとみなされる」とある。だたし、それが正しいかとは別に、名があるイラストレーターが他者の作品を盗作したとも思える行為は、道徳に関する問題として多くのファンの間で議論を呼んでいる。
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証拠はすでに提出されている。公式WotCやJason Felix氏からは件についての説明が待たれるところだ。

【UPDATE 3/30 12:00】
3月30日、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは公式サイトにて、ミスティカルアーカイブ版《命運の核心/Crux of Fate》のアートにて、許可なくファンアートが使用されている可能性があるため、問題が解決されるまでJason Felix氏との今後のイラストの発注を停止することを発表した。
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/statement-crux-fate-2021-03-30